スタートアップと投資家のマッチングサービスAngelListの、2015年の成績がすごい

AngelListといえば、CrunchBaseにつづいてスタートアップ界隈では登録必須なサービスだったりしますが、今回彼等が2015年のまとめを発表しています。

総額$160M以上もの資金をオンライン上で調達

主に、シードやエンジェルラウンドのスタートアップに、オンライン上での資金調達の機会を提供しているわけですが、

2015年は計441社のスタートアップが3379人のInvestorから総額$163MをAngleList上で調達したようです。

すごい数ですね。

なんでも14年と比べると56%も増えているらしいです。

over160m

なかでもアクティブに投資しているのは以下の投資家。 HaystackSemil Shah氏やAngel投資家として有名なRick Marini氏もいます。 170active

以下の様な著名なVCとの協調投資も行われています。
co-investment

フォローオン投資も活発です。 followon

全体の40%がプライベートラウンドとなっているようです。 private

さらに、機関投資家かからも全体の40%以上が行われているとのことです。 AngelList自体も昨年末に$400Mもの巨額SeedFundを組成してましたね。 institutionalfunds

世界最大のスタートアップ求人サイトでもあるAngelList

ちなみにAngelListは人材採用のプラットフォームにもなっていますが、昨年は25万人以上の求職者に対して、約55万人もの人がマッチングしたとのことです。(計1万6千社の職)

アクティブな応募社数も、求人情報も、2014年と比べると世界で倍以上に伸びています。

candidates job

よく聞くスタートアップも結構掲載してますね。 over16k

ソフトウェアの求人情報は、特にJavascriptエンジニアが人気で、Java、HTML、Pythonと続いています。

デザインの求人情報は、UXデザイン、Photoshopが人気ですね。

skillsfordesigners skillsforsoftwareengineers

投資活動もソフトウェアに食べられていくのか?

かの有名な投資家アンドリーセン・ホロウィッツは、ソフトウェアが世界を征服する(Software is eating the world)と述べてますが、

投資活動もITによって駆逐されていくのでしょうか?

確かに今、投資活動の大部分が属人的に行われていると思います。

もちろんシード期の投資活動は、数字では測れないステータスのものが多いですし、起業家やチームが魅力的かといった、ある種まだ人間にしか判断の難しいセンスの部分も多々あります。

一方で、1千、1万、10万といったオーダーのスタートアップを支援し、その規模でイノベーションを引き起こしていくには、こういったITの力が必要不可欠になっていくのではないでしょうか?

投資家の数がスケールすればするほど、お金を出すという行為に価値はなくなっていきます。現に、米国では勿論のこと、日本でもお金を出すという行為だけでは投資させてもらえないフェーズになってきていると思います。

投資家の数が数年前と比べてだいぶ増えてきたのです。

つまり、投資家にも競争原理が働きスタートアップが投資家を選べるフェーズになっているのです。

起業家が投資家に求めるのは、例えば、人材採用であったり事業のGrowth支援であったり、精神的な支えであったりします。

お金だけではなく、沢山のスタートアップを見ている投資家ならではの知見やノウハウが欲しいのです。

簡単にいえば、その投資家から出資をうけることが、会社のスケールを後押しするか、というわけです。

日本のエンジェル投資の今

先日、佐俣アンリさん率いる独立系ベンチャーキャピタルのANRIが、Tokyo Angel Netowrkなる創業前後のスタートアップとエンジェル投資家のマッチング支援プラットフォームを立ち上げました。

これは、エンジェル投資家に対して事業や資本政策のメンタリングを希望するスタートアップを募り、ANRIがエンジェル投資家の代わりにスクリーニングを実施するというものです。

素晴らしい取り組みだなぁと思っていたのですが、確かに米国と比べると日本のエンジェル投資家の数はまだまだ少ないのです。

ここ数年でやっと増えてきたなぁというレベルです。

エコシステムとしてこのようなフェーズだと、まだオンライン完結でマッチングまで引き起こすのは無理があるというわけですね。

エンジェル投資の文化を広めることが先決ですと。

実際、「スタートアップは良いエンジェルへのアクセス方法がない、一方でエンジェルはスタートアップからたくさんの連絡が来てしまうのが困る」といった課題があるようで[引用:創業期のスタートアップとエンジェル投資家を結ぶ「Tokyo Angel Network」、ANRIが立ち上げ]、

この取り組みによって間違いなくエンジェル投資の文化が広まっていきますね。

Exitの数が増えればその分エンジェル投資家が生まれるわけですが、そもそもスタートアップの数も少なく、そこにお金を提供するVCも増えていなかったので、Exit数も少なかったのです。

日本でもスタートアップエコシステムが立ち上がり初め、やっとポジティブなサイクルが回り始めたなぁといった感じですね。

今後はIPOだけではなくM&Aの数も加速していき、エンジェル投資家の数も増えていきそうです。

最後に

いずれ、日本のスタートアップエコシステムもITの力をもっと使い、ITで解決できるところは彼等に任せ、投資家たちは人間にしかできない部分を担っていくのではないでしょうか?

ソフトウェアによってスケールしていくというのはスタートアップの十八番ですもんね。w