元Pepper開発リーダー林要さんの『ゼロイチ』を何度か読んでみた

元Pepperの開発責任者で知られる林要さんは、SoftBank退職後の現在、ロボットベンチャーのGroveXを創業し、DMM.make AKIBAでロボットを作っています。(ABBALab部屋のお隣さんです。)


ーーーーーーーーーー
著者経歴より引用
大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサス LFA 」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。 帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感!そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である 「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012年人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepperは、2015年6月に一般発売されると毎月1000台が即完売する人気を博し 、ロボットブ ームの発端となった。 同年9月、独立のためにソフトバンクを退社 。同年11月にロボット・ベンチャー 「GROOVE X」を設立 。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。
ーーーーーーーーーー

トヨタ時代にレクサス開発プロジェクトやF1開発スタッフとして活躍され、数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏の旗振りのもとPepperという一大プロジェクトにも大抜擢された林さん。

『孫正義氏の下で開発リーダーとしてプロジェクトを回す』という貴重なご経験をされてきた彼なりのゼロイチが語られています。

会社の新規事業として、自らのスタートアップの創業として、様々な立場でゼロイチを繰り返されてきた林要さんの“ゼロイチノウハウ”が惜しげもなく語られています。

これは、アントレプレナーだけではなくビジネスマンにもオススメの本でした。

ことの大小はあれ、新規事業の立ち上げや何かのプロジェクトを社内で走らせるとき、何かと立ちはだかる様々な壁。

きっと皆さんもこういったご経験があり、共感されながら読み進められると思います。

孫正義氏から与えられた「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という難題を、彼なりの試行錯誤で成し遂げたエピソードも、エキサイティングで大変面白かったです。

『無理難題じゃないとゼロイチではない』これは、ずっと頭に残っています。

無理難題を頭がちぎれるほど考えて解決せよ、というのは、まさに孫家の真髄だなと。

弟さんの泰蔵さんにご指導頂いた経験から、林さんの学びに共感して腹落ちする点が多々ありました。

良い言葉や新しい視点になったところをメモとして下記に列挙してみました。盛り沢山になってしまった…笑

話は外れますが、林さん作のこんなスライドも最近バズっていましたね。

とてもしっくり来るスライドでこれも必読ですね。こちらはパートナーを見つけるゼロイチの方法って感じですかねw

以下、引用&メモ集

1.失敗の向こうにゼロイチはある

ゼロイチこそが人間の本能にかなった仕事

若いうちから保守的にふるまうことで、仕事に対して慎重になりすぎることのデメリットに注意すべき

自分のなかに「これは価値のあるチャレンジなんだ」という確信がなければ、心は簡単に折れてしまう

とにかくやり抜くこと

「賢いけど失敗できない人」より「少々バカでも失敗できる人」

次から次に思いついたものをやってしまう。そして、その結果からフィードバックを受け取って、次のチャレンジに活かしていく。このプロセスをどれだけ速く回せるかが、ゼロイチの成否を握っている

誰もが「バカな」と思うようなチャレンジをすることによって、もしかすると、誰もが思いもしなかったアイデアに巡り合うかもしれません。とにかくやってみなければわからないのです。

おっちょこちょいとは、失敗のリスクがあることに努力を惜しまないこと

もちろん、「賢い」に越したことはありません。しかし、それが、ゼロイチを成功させる本質ではありません。実際、「賢いけれど失敗のできない人」よりも、「ちょっと〝おバカ〟でも失敗できる人」のほうが結果を出しています。「失敗」に対する姿勢こそが、本質的に重要なポイント

記憶に残るのはどんな人か? 僕はひたむきに仕事に向き合う人だと思います

純粋に「仕事」を追求している人は、純粋であるがゆえにある意味で未成熟で、しばしば社内に波風を立てる

仕事で最も重要なのは、あくまでプロジェクトを成功させることであって、軋轢を避けることではありま

「出る杭」は叩かれるだけではなく、引き抜かれる存在でもある

人からどう思われようが、それは、その人が思うこと。ダメならダメと蹴ってくれればいいわけで、誰かに迷惑をかけるわけでもない

「泳ぎは水に入らないと覚えない」

〝安全地帯〟にとどまっている限り、人間は成長することはできません

しっかり寝て、自分が生来もっている生命力を取り戻すことができれば、なんとかなります

何度も溺れそうになって、必死になってもがくうちに、かつて〝分不相応〟だったことが〝分相応〟になっていることに気づく

どんなに〝分不相応〟に思えても、それが自分の好奇心を十分にくすぐるものならば、四の五の言わずに「やります!」と手を挙げる

どんなに厳しい批判を受けたとしても、「人格攻撃」をされているわけではないとクールに受け止める

批判や意見は一度すべて受け止めることです。感情的になっている相手や、凹んでいる自分を客観的に受け止め、冷静に状況を認識する。「メタ認知」と呼ばれる手法で、自分を客観視する

2.ゼロイチの主戦場は「無意識」である

不満を常に口にしているのは、自分にネガティブなおまじないをかけ続けているようなもの

「不満を感じる」ということは、世の中に対して「違和感」を感じるセンサーが鋭敏な証拠

不満や違和感を解消することができたとき、それをゼロイチと言う

不満を否定してはなりません。 むしろ、自分が感じている不満を大事にせず、「こういうものなんだから、仕方がない」と思い込むほうがよほど問題

個人的な不満や違和感であっても、それが心の深い部分から発するものであれば、他の人々も潜在的に似たようなものを感じているはず

不満や違和感の一つひとつが宝物

中途半端な専門家は、「できない理由」を並べ始めます

ゼロイチとは、そもそも成功するか失敗するかギリギリのチャレンジ。失敗するリスクのないゼロイチなど、ありえない

まずは「できる可能性」をとことん追求することが重要。「できない理由」ばかり並べても、何かを生み出すことなどできるはずがない

「価値」を生み出すことよりも、「うまくやる」ことに固執する

専門家であるがゆえに「思考の死角」が生まれがちということ。そして、多くの場合、この「思考の死角」にゼロイチのアイデアは眠っている

結局のところ、僕たちのビジネスはすべて、ユーザーに喜んでもらうためにあります。「ユーザーの喜び」こそが「価値」なのだ

専門的知識を有していながらも、同時に「素人目線=ユーザー目線」に徹することができるような〝二重人格性〟をもつことこそが、プロフェショナルの証

プロフェショナル意識を持つ「素人」こそが最強だ

快感の先にゼロイチがあると考えています

ゼロイチの製品ができるプロセスは小さなゼロイチの集合

僕たちが意識することのできない無意識の領域で、「自分(=意識)」にとっても「予想がつかないことがしばしば起こって」いる

無意識の領域で起きるのがひらめきだからこそ、「我々(=意識)」にとっては常に「驚き」を伴う

あるいは、「無意識の思考=ひらめき」によって生まれたアイデアを、「意識的思考=論理的思考」によって検証することで、「このひらめきに賭けるか?」「使い物になるアイデアか?」を判断することもできます

「意識的な思考」と「無意識の思考」は、ゼロイチにおいて車の両輪の関係にある

論理的思考からゼロイチのアイデアを生み出すのは不可能とは言いませんが、とても打率が悪いやり方

ゼロイチの主戦場は「無意識」である

思いつきのサイコロを振り続け、可能な限り実行に移して、その結果を確認し続けること。サイコロを振らなければ、絶対に「あたり」は出ないから

〝無駄〟なサイコロを無数に振り続けてきた結果として、脳が鍛えられたのだと思うのです。IQが非常に高い神童が、必ずしもそのまま偉大な発明家になるわけではないことが、そのことを反証しているのではないか

むしろ、「やりたい」「面白そうだ」と思ったことをやってみることが大事

他の人と異なるひらめきをしたいなら、自分の好きなことを集めた「偏った経験」を積み重ねることが不可決

3.「アイデア」だけでゼロイチは不可能

会社では、常に、「新しいもの」は「古いもの」より劣勢に立たされる

新しいものを「創造」することよりも、「仕組み」を管理することに長けた人材が大勢を占め始める

「3%のコストダウンは難しいが、3割はすぐできる」 これは、松下幸之助さんの有名な言葉

トップからの無理難題によって、現場の発想が強制的に切り替えさせられる。これが、ゼロイチを生み出す大きな原動力になる

ゼロイチをやりたいのならば、トップからの魂のこもった無理難題を求めて、〝チャンスの前髪〟としてつかむべき

無理難題こそ、ゼロイチのエンジン

だから、僕たちは、無理難題を求めるべきです。トップの魂のこもった無理難題こそが、ゼロイチのチャンス

自分が正しいと思う仕事をするためには、「一職人」の立場にとどまっていてはダメだ、と。ヒト・モノ・カネの差配に影響力をもつマネジメントの立場にならなければ、限定的なゼロイチしか実現できな 素晴らしいアイデアがあっても、そのアイデアの大きさに相応する「影響力」が伴わなければ、それを実現することはできません

ゼロイチは、すべて「影響力×アイデア」のふたつがバランスしている

純粋に「情熱」に突き動かされて、上司や他部署の人々に熱く語りかけていました。僕の未熟さのせいで、軋轢を生んでしまったこともあります。しかし、それでも多くの人々が力を貸してくれました。あれこそ、リーダーシップだったのではないか。

結局のところ、人を動かすのは「情熱」以外にないのではないか

誰でも、リーダーになれる

リーダーシップの根源は「情熱」だからです。「ゼロイチをやりたい」という純粋な情熱さえあれば、リーダーシップに必要なスキルは、後からついてくる

逆に、「情熱」がなければ、いくらスキルを振り回しても、誰も本気では力を貸してはくれません

4.「物語」がゼロイチのエンジンである

ユーザーが求めているのは「技術」ではありません。

ユーザーの「願望」こそが、ゼロイチのゴールなのです

魅力的で説得力のあるゴール設定ができなければ、社内の協力を得ることが難しくなってしまいます

悲しいかな、往々にして、新しいことをやりたいのはゼロイチの担当部署の人間だけ。他部署の人々は「自分のところには火の粉を飛ばさないでよね」と見張っているもの

そのストーリーの登場人物になってほしいと頼み込んだわけです。僕は、これも、彼の心を動かす大きな要因になったのではないか、と思いました。

誰もが「物語を生きる」ことを求めている

価値あるものを生み出すために、何人もの登場人物が山あり谷ありの「物語」を生きているからです。そして、自分も、そんな「物語」を生きてみたいと思う。それは人間の根源的な本能のひとつである承認欲求なのかもしれません。

他部署の協力を取り付けるには、技術的な正当性を訴えるだけでは足りません。共感できるゴールがあり、そのゴールに到達するまでの「物語」を語る。そして、その「物語」に加わってほしいと訴える

ゼロイチのプロジェクトは常に〝視界不良〟

与えられた時間的制約のなかで、はっきり見えないゴール地点に辿り着かなければならない

「飛び石」を置くのがよいと考えています。 ゴール地点までの推定距離と与えられた時間的制約から逆算して、到達すべき一歩一歩の「飛び石」を小刻みに置いていく

たとえば、「橋をかける」という方法。ゴールまでのアプローチを最初に決めて、一直線でそのルートを駆け抜ける。つまり、ガッチリとした計画を組み上げてしまう方法です。これが最も効率的で、進行管理もしやすい方法だと言えるでしょう。しかし、これは、プロセス全体がはっきりと見えている既存事業には有効ですが、ゼロイチには不向きです

無理に詳細の計画をつくって、上層部の承認を得てしまうと、後々、それが足かせになりかねません。場合によっては、正しいゴールに辿り着くことよりも、計画を遵守することが目的化してしまう恐れすらあります

試行錯誤を繰り返す以外に、靄のかかったゴール・イメージをクリアなものにしていく方法はありません

ところが、「橋」をかけてしまうと、この試行錯誤の余地が少なくなってしまうのです。それでは、とてもゼロイチを成し遂げることはできないでしょう

完全な無計画ではプロジェクトは破たんします

あまりに遠いゴールでは、目的意識を揃えることができません。向こう岸に着いてみれば、全員バラバラだったということになりかねないのです

「飛び石」は、個々のプロジェクト・メンバーが120%の力を発揮すれば、ギリギリ達成できるポイントに置きます。そして、一つひとつの「飛び石」をクリアしていけば、最終的にはゴールに辿り着けるというストーリーを示す

ゼロイチにおいては、「計画」と「無計画」の間に、進行管理の「正解」がある

ゼロイチは〝視界不良〟ですから、各担当に最初の目標設定を任せてしまうと、その視界の悪さから恐怖心が先にたち、どうしても小さくまとまりがち

だから、「飛び石」は、必ず「ゴール」から逆算して設定しなければなりません。

プロジェクト・リーダーが、自らの裁量によって「飛び石」を置くときに、〝根性論〟に立脚するのは絶対に避けなければなりません。

人には「相場観」があります。これこそがゼロイチを率いるうえで大事な能力

僕の場合は、だいたい1・5か月おきに「飛び石」を置くようにしています。1・5か月でちょうど具体化できるようなところに「達成すべき目標」を置いて、それを次々とこなしていけば、魅力的なゴールに到達できるという相場観をもっているのです。

これより長いとだれるし、短いと変化が小粒になり開発速度が落ちてしまうのです

単純に考えれば「30か月÷1・5か月=20」、つまり、20回のトライアルを回せることがわかりま 全員の合意を必要条件と考えないこと。 それよりも、とにかくやってみることが大切です

失敗することもありますが、それは「授業料」だと割り切る

ゼロイチとは、誰もやったことのないことですから、参照できるものは何もありません。そこで頼りになるのは、無数の経験によって身体で覚えた「勘」しかない

5.「効率化」がゼロイチを殺す

「無駄」には2種類あります。 「意味のない無駄」と「意味のある無駄」

「意味のない無駄」は徹底して排除する必要があります。しかし、「効率性」という掛け声のもと、「意味のある無駄」まで排除してしまってはならないと思うのです。なぜなら、ゼロイチの成否は、「意味のある無駄」を厭わず、いかにそれを積み重ねることができるかにかかっているから

労働時間は本質ではありません。寝てるとき以外は常にLFAのことを集中して考え続ける毎日(寝てる間も考えていたかもしれません)。重要なのは、労働時間ではなく、脳内時間占有率。まさに、孫社長の口癖の「脳みそがちぎれるくらい」考え続けました。

ゼロイチは定型業務とは根本的に異なります。定型業務は「平準プロセス」という答えがあり、それをいかに効率的にこなすかが問われますが、ゼロイチには、用意された答えはありません。答えを自ら見つけ出すのがゼロイチなのです

そして、「最高の答え」を見出すためには、できるだけ多くのトライ&エラーを繰り返すほかありま ここを簡素化すれば、効率的にモノを生み出すことはできるでしょうが、ゼロイチを生み出すことは不可能。なぜなら、そのくらいのことは誰かがすでにやってしまっているからです

むしろ、トライ&エラーという「意味のある無駄」を愚直に重ねることこそが重要

「意味のない無駄」を徹底的にそぎ落として、「意味のある無駄」を最大化する。そして、それを最速で回し続けることが不可欠。これこそが、ゼロイチにおける「効率性」

練習走行でギリギリのトライ&エラーを重ねるからこそ、一流になれる

成功と失敗のギリギリ紙一重を狙って練習を重ねることによって、最速のコース取りを肌感覚で身体に刻み込む

だからこそ、本番で勝てる。この繰り返しで、「一流レーサー」の称号を手にする

仕事をするときには、ときに失敗をするぐらい、自分の力で到達できるギリギリの領域を狙う。その繰り返しによって、ギリギリ成功できる領域を見極めて、果敢にチャレンジできるようになる。そして、平均以上の成果を生み出し続けるだけの実力がつく。そんな働き方を習慣化することが、自分を成長させる鉄則だと思うのです。

ギリギリ紙一重のコースを狙う──。だから、必然的に、ゼロイチの開発過程は失敗の連続となります。

ゼロイチに必要なのは「失敗への耐性」である。

「失敗してない」のは危険な兆候である

実物で見てもらう以外に、イメージを共有していただくことはできないと考えた

踏み込むゼロイチの場合はなおさらです。「感性領域」の問題を、言葉だけで議論しても絶対に埒はあきません。できるだけ早い段階で「具体的なモノ」にしてみることが重要。そして、関係者がイメージを共有することが、ゼロイチを成し遂げる絶対条件なのです。

「すでにあるもの」の改善に活かすことはできますが、いくらそんな「ユーザーの声」を集めても、「誰も見たことのないもの」を生み出すことはできない

スティーブ・ジョブズが、まさにそうでした。彼は、iPodやiPhoneのアイデアを生み出すときに、市場調査をあまり参考にしなかった。彼自身が「ほしい」と思ったものを純粋に思い描いた

ユーザーは「答え」を教えてはくれないのです。大事なのは、言葉の向こうにある「想い」を解釈すること。ユーザーの言葉をきっかけに、「ユーザーが本当に求めているものは何か?」を自分の頭で考えなければならない

日本人にゼロイチの「能力」がないからではなく、日本社会が成熟したときに、「失敗しない」ことに価値を置いてしまったため

ホットスポットだったころの日本を支えたのは、戦後の瓦礫を経験した大先輩たち。「失敗しない」ように生きたのではなく、生き抜くためにやれることは何でもやってきた世代。戦後の日本は今日より明日が必ずよくなるという夢を追える、一億総ベンチャーのような雰囲気だったはず

日本社会全体が「失敗しない」ことに価値を置くようになりました。子どものころから、「ケガするよ」「危ないよ」と、〝やっちゃいけないリスト〟を大量に浴びながら育つ。テストで、いかに失敗せずに「用意された正解」に辿り着くかを競う。さらに偏差値重視がそれを助長する。

こうして、「失敗しない方法」に縛られて育ってしまった僕たちは、やれることは何でもやった大先輩とは異なり、チャレンジすることが苦手になってしまった。

そもそも、人生に正解などありません。にもかかわらず、僕たちは人生の失敗を怖れるあまり、目の前にチャンスが転がっていても、自ら手を伸ばすことができない

彼がほんとうにつくりたかったものが、市場で大成功をおさめるには、1998年発売のiMACまで待たなければなりませんでした。その間、実に20年。僕は、この20年にこそ、彼の成功の秘密があったように思うのです。

彼は、手に入れたものを元手に次々と新しいチャレンジを繰り返しました。しかも、それがことごとく失敗。Appleを追い出され、起業したNEXTもパッとしなかった。それでも、彼はチャレンジをやめようとしなかった。これが、彼のほんとうにすごいところ

20年もの長きにわたって、痛烈な失敗に屈することなく、普通の人が一生で経験する何倍、何十倍もの経験を積み重ねるなかで、ジョブズのなかにすさまじいまでの「無意識の知」が蓄積していった。

僕は、人生を設計しようとしてはならない、と考えています

ライフプラン・セミナーや社員教育で言われるように、誰でも手が届く範囲で自分の人生を計画してしまったら、それは自分のなかに「保守的なバイアス」を生み出してしまい、チャレンジを抑制してしまうから

以上