映画『ちはやふる』が想像以上に素晴らしい邦画だった件について

もうすぐ28になるアラサーのおっさんが久しぶりに邦画で感動してしまった。

原作もアニメもまったく見たことのない、『ちはやふる』で。

たしかに、ちはやふるの映画めちゃ良いよ!!って声はやたら聞いていた。

でも想像以上だった。

原作とアニメを観たことある人にも高評価だったので、普通に良い仕上がりなはず。

なので、ぜひ皆にも映画館で観てもらいたくて、レポートを書いてみた。

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上の句は渋谷ヒューマントラストシネマ渋谷にて。

最近いつもお世話になっているゴールドジム渋谷店の下にある映画館。

渋谷ということもあり一緒に観てる人は10~20代前半の若い子ばっかで、おっさん二人での鑑賞は正直キツイものがあった。

ソフトがそもそもザ・青春ものなのに、ハードも青春のど真ん中で最適化された場所で鑑賞するという。(下の句は結局TOHO日本橋で観た。だいぶ落ち着いていた)


そして、肝心の競技かるただけど、正直僕は『あー、あの中学の時に習った百人一首ね』くらいにしか考えておらず全然詳しくないし、今話題の広瀬すずも、やたらサッカーセンスバツグンの将来有望な若手女優!ってだけの印象だった。

↑未経験者とは思えないドリブル

まぁそういうことで、めちゃくちゃハードル低い中見てきたわけだが、もう開始直後の映像と音の美しさで一瞬でちはやふるの世界観に引き込まれてしまった。

広瀬すず演じる千早が着ている着物の鮮やかな赤と青々しい畳の色のコントラスト。

そして、切なさも残る澄み切った力強いテーマ曲。

OPでここまで引きこまれたのは久しぶり。

美しく繊細な青春スポ根映画

期待の若手女優さんと俳優さんとの共演映画となると、大体は青春ラブストーリーって感じになりがちだけど(現に、ちはやふる上映前の映画予告ではほとんどが青春ラブストーリーだった…)、ちはやふるは完全なる青春スポ根映画。

もちろん、いい感じの三角関係は描かれているが、結局それも全体を通してほどよい割合だった。 chihayahuru6

主要キャストの3人がメインで話が進むのかとおもいきや、それで終わらないところがこの映画が気持よく進むポイント。

他の登場人物のストーリーも丁寧に描かれていた。矢本 悠馬くん演じる西田 優征も良いキャラしてるし、上白石 萌音ちゃん演じる大江 奏も千年引き継がれた歌の魅力を伝えてくれて、畳の上の格闘技で終わらせない大事な因子になっていた。


[森永 悠希](https://www.google.co.jp/#q=%E6%A3%AE%E6%B0%B8+%E6%82%A0%E5%B8%8C)くん演じる机くん(駒野 勉)も、あとあとチーム力を高める良い触媒になった。

あと、綿谷 新役の真剣 佑くんはなんかもうただのイケメン。

ずるいレベルで。

千葉真一の息子さんだったのか。

主人公の真島 太一役の野村 周平くんは、もうちょっと演技力あったらな、なんて思ってしまったが、安易にジャニーズにしないキャスティングはナイスだったな。

そして広瀬すず

ドラマも海街ダイアリーも見たこと無くて彼女の演技を見るのは初だったが、あのピュアで無邪気でまっすぐにかるたを愛する姿は演技とは思えないほどとても自然で、うまいなぁと思った。

特に声が良い。

泣きじゃくって『たいぢぃぃい』って呼ぶ声がもうたまらなく愛くるしかった。← あと、ボブよりもロングよりも、あのアップにする髪型が似合ってた。

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『全』と『個』、そして、『静』と『動』の華麗な描写

何度か出てくる『つながれ!』というフレーズ。

OPや重要なシーンで流れるテーマ曲の題名も『つながれ!つながれ!!つながれ!!!』なんだけど、これがこの映画の価値観になっている。

幼いころに始めたかるたを通して、離れ離れになっても繋がっている幼馴染3人。

そのかるたを通して、世界は拡がり、かるたを愛する新しい同士達と繋がっていく。

この世界観のベースの上で構築される、団体戦を描いた上の句、そして個人戦に重きをおいた下の句。この『全』と『個』の対比がとてもうまかった。

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テーマ曲はこちら↓、疾走感もありつつ切なさの残るメロディが個人的に好みで、iTunesでポチってしまった…笑

つながれ つながれ! つながれ!!
カテゴリ: サウンドトラック

さらに、たった数畳の畳の上で、かつ座っている、そんな制約条件の中で繰り広げられる、『静』と『動』も見事に美しく、そして力強く表現されている。

競技かるたは、経験者となってくると、上の句の一番初めの子音で、歌を聞き分けて札をとりにいくらしい。

歌が読まれる前の張り詰めた緊張感と静けさ。

それとは対象的に、あの瞬発力のあるスピード感と畳を叩く激しい音。

この緊張感が、スローモーションを駆使した演出と音楽で、リアルに伝わってきて、圧倒された。

この静と動をリズミカルに繰り返しながら、そこにチームとしてのストーリー、そして選手の心の中が描写されていく。

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大人になると忘れてしまう、ピュアで熱い気持ち

下の句も見終えた今、いつまでも心に残る青春映画に久しぶりに出会えたような気がする。

部活をやっていた人は強く共感出来ると思うけど、情熱をもってピュアに真剣に何かに取り組むことは、挫折もするだろうし、とても苦しくてとても辛い。

けれど、成長していく過程や達成感、これが死ぬほど楽しい。

大人になってしまうとこの感覚を忘れがちになる。

ちはやふるの映画は、大人の我々には見ているのもつらくなるほどキラキラした青春ドラマが描かれているが、努力を重ね、高みを目指して良き友と共に戦っていく姿勢は、大人になった我々こそ見習うべきだと思う。

あの頃を思い出して、ピュアな気持ちで何事にも全力で挑戦していきたい。

人生は短いようでまだまだ長い。

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続編の制作も決まったらしいので、ぜひ上の句が終わる前に観てきてほしい。予告はこちら↓

主題歌のPerfumeのFLASHもめちゃいい。