Published: October 27, 2018
海外版「カメラを止めるな」とも言われるバズり方を見せている、新感覚サスペンス映画「search」を観てきました。
いつもお世話になっているFilmarksのスコアで、4.1(2018/10/27時点)と高い評価を得ていて、公開前からかなり気になっていた作品。
以下、Filmarksのイントロ。
サスペンス・スリラー映画『search/サーチ』は、2018年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞。全米公開当初はわずか9館での限定公開だったが、1館あたりの興行成績は40,000ドルと、公開作品中No.1の大ヒットを記録! ローリングストーン誌も「なんて斬新な映像手法だ!」と絶賛し、その話題性から急遽公開スクリーン数が増えるなど、まさに今年いたるところで話題となった日本の『カメラを止めるな!』と似た勢いを持った映画なのだ。
まずここまで話題になっているのは、その演出方法。 なんと100分間、ずっとPCの画面という革新的スタイルなのです。
僕も見るまでは結構疑っていて、『とはいえ100分もPC画面のみの演出は、結構苦痛じゃないのか?』と思ってました。が、冒頭5分でしてやられました。 うまい。なるほど。その手があったか。のオンパレード。あっという間の100分。
PC画面のみという成約の中で、そもそも長尺動画自体をどう成立させるのかと感じていたのですが、これがまた見事な演出っぷりなわけです。
ちょっとしたマウスの動き、キーボードを進める間、などなど、とにかく”PCを扱う”すべての挙動で、登場人物の心情をうまく描写しています。(=スクリーンライフ) 映像に制約があるからこその、新しい発明が数多くあるのです。
これは映像やネットに携わる人は、間違いなく一見の価値がある映画です。 さらにいうと、YouTuberにとっては魅せ方がとても参考になる作品なのではないか?と感じました。
一日の大半をスクリーン上で過ごす現代人にとっては、歴史に残る作品となることでしょう。 映画製作者ティムール・ベクマンベトフ氏が提唱する新しい映画言語「スクリーンライフ」の醍醐味を、ぜひ味わっていただきたいです。
※スクリーンライフ 映画製作者ティムール・ベクマンベトフ氏が提唱する新しい映画言語。カーソルがどう動くか、何を選択するか、キーボードをどう叩くか、といったブラウザ上で起こっていることを見るだけで、使用者の千変万化する相手の意思や心配事など、感情が極めて視覚的な形で露わになる。
この映画を手がけたのは、長編映画デビューを果たした若干27歳のインド系アメリカ人監督、アニーシュ・チャガンティさん。 彼は、23歳のときにGoogle Glassだけで撮影した短編映画「seeds」がYouTube内において24時間で100万回以上再生され、大きな話題となった監督でもあります。その後、NYのグーグル・クリエイティブ・ラボに招かれ2年間グーグルのCM制作などに携わり、本作品で長編映画デビューされたようです。
あーやるやる、こういうことやっちゃうよね、というネットあるあるな細かい演出も、ネット世代で生きる人にはとても心地よく、リアリティがすごくあります。
20%ぐらいiphoneを使って撮影されたようで、Twitter,Facebook,Instagram,Skype,しまいにはTumblrやキャスまで駆使される、まさにこの時代でしか取れない作品でした。
演出手法もさることながら、なんたって話が面白い。 二転三転と、とてもリズミカルに話がすすみ、かつ、先が読めない展開。 単純にサスペンス映画としても秀逸なのです。
ガワの制約のおかげで無駄な描写が排除され、やたらストーリーに引き込まれます。伏線の回収も秀逸でした。
物心ついたときからネットが当たり前の若者にとって、リアルの世界はPC画面を通して見る世界そのものなのかもしれない。
100分の映画がPC画面だけで完結していても、なんの違和感もない、ということ自体がそれを物語っているのかもしれない。恐るべしアニーシュ監督。
YouTuberよ、今すぐ編集を中断し、この映画を観に行こう。